【社労士が解説】最低賃金アップの今こそチャンス!最大920万円の助成金を活用し、人件費高騰を乗り切る「業務効率化・省力化」への道
- 西川 浩樹
- 4 時間前
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2025年10月に入り、全国各地で最低賃金が大幅に引き上げられています。これは、働く人々の生活を支える上で非常に喜ばしいニュースである一方、企業経営、特に中小企業にとっては「人件費の高騰」という形で大きな課題を突きつけています。
最低賃金の上昇は、直接的にパート・アルバイト等の時給増加につながるだけでなく、正社員の賃金体系の見直しにも波及し、企業全体の人件費を押し上げる要因となります。特に、慢性的な人手不足に悩む企業にとって、人件費の増加は利益を圧迫し、経営の安定を揺るがしかねない喫緊の課題です。
この人件費の増加を単なるコスト増として受け入れるのではなく、企業体質を強化する絶好の機会と捉える必要があります。その鍵となるのが、「省力化」と「業務効率化」です。
人件費増加をコストではなく「投資」に変える「省力化・業務効率化」
人件費の増加を抑制し、むしろ企業を成長させるためには、「同じ人数で、より高い生産性を実現する」ことが不可欠です。
省力化:自動化、機械化により、これまで人の手で行っていた作業を削減・代替すること。
業務効率化:ムダな作業やプロセスを見直し、より短時間で質の高い成果を出せるように改善すること。
これらは、一時的に費用(設備投資)が発生するものの、中長期的には人手不足の解消、労働生産性の向上、そして結果として人件費率の適正化につながる「未来への投資」に他なりません。
しかし、「わかってはいるが、設備投資をする余裕がない」というのが多くの中小企業の本音ではないでしょうか。そこで活用すべきなのが、国が用意している強力な支援策、「働き方改革推進支援助成金」です。
最大920万円!「働き方改革推進支援助成金」が実現する未来への投資
私ども社会保険労務士が、今、最も強く活用をお勧めしたいのが「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース等)」です。
この助成金は、中小企業が労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進などの働き方改革を進めるために、その実施にかかる費用を支援するものです。そして、最も注目すべきポイントは、「労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新」が助成対象となることです。
つまり、業務効率化や省力化につながる以下の投資に、この助成金が活用できるのです。
生産設備・機械の導入:製造ラインの自動化ロボット、高効率な加工機、貨物車両など。
ITシステムの導入:勤怠管理システム、クラウド会計ソフト、RPA(ロボットによる業務自動化)ソフトなど。
コンサルティング:外部専門家による業務フローの抜本的見直し、生産性向上診断など。
助成金活用のインパクト:最大920万円の可能性
この助成金は、成果目標の達成状況に応じて助成額が決定されます。基本となる助成額に加え、さらに「賃上げ」を実施することで、助成金の上限額が大幅に加算される仕組みがあります。
特に、従業員の賃金を一定割合(例えば7%以上)引き上げ、かつ、所定の成果目標を達成した場合、助成金の上限額が最大で920万円にも達する可能性があります(※各コースの要件、賃上げ率、対象人数、常時使用する労働者数等により変動します。詳細は各コースの最新の要綱をご確認ください)。
これは、最低賃金アップによる人件費増を「賃上げ」という前向きな形で捉え直し、その費用をカバーするどころか、高額な設備投資の費用を国が支援してくれるという、まさに一石二鳥の制度設計です。
助成金活用のためのロードマップ
このチャンスを逃さないためには、計画的な行動が必要です。
現状分析と目標設定:まず、自社の時間外労働の状況、業務上のムダ、生産性を阻害しているボトルネックを洗い出します。
成果目標の決定:「働き方改革推進支援助成金」が求める成果目標(例:時間外労働の上限設定の引き下げ、年次有給休暇の計画的付与制度の導入など)と、賃上げの目標値を設定します。
設備投資計画の策定:成果目標達成に直結する省力化・業務効率化のための設備(システム、機器等)を特定し、見積もりを取得します。
交付申請と実施:所定の期日までに労働局へ申請を行い、採択後に計画に基づき設備導入や賃上げ等の取り組みを実施します。
まとめ:人件費高騰を「飛躍のバネ」に変える
最低賃金アップは、単なるコスト増の号砲ではありません。国が「働き方改革」を本気で推進している今、「人件費増加」という痛みを「生産性向上」という筋肉に変えるためのまたとない機会です。
最大920万円という強力なバックアップを得て、貴社の業務効率化・省力化を実現し、人件費高騰を乗り越える強い企業体質を作り上げましょう。
「働き方改革推進支援助成金」の最新情報、具体的な活用方法、そして貴社に最適な申請計画の策定については、助成金専門の社会保険労務士である私どもにご相談ください。スピード感を持って対応することが、このチャンスを掴む最大のカギとなります。
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